一盗の味。其の一
〜美人系の顔立ち〜

昔からオメコをする相手として好ましい順位は、
「一盗・ニ婢・三妾・四妓・五妻」と言われ、人妻を盗んでするオメコの味は
何処と無くスリルがあって、何時までも忘れられないものです。

私にも十指に余るほどの人妻とのセックス体験がありますが、
其の中で、毎度相手の家で、旦那に隠れて、
そこの奥さんとオメコをしたという忘れられない体験があります。
しかも旦那とは顔見知りの間柄で、そんな人妻のオメコを盗むという事には、
明らかに他人の持ち物という現実感があり、また、その行為には危険が伴う感じで、
ゾクゾクするようなスリルを伴い、一度味わうと中々止められないものでした。

処で、私がその人妻の純子と関係を持ったのは、
私がまだ四十歳になったばかりの、
男女共に所謂「四十し盛り」という時期の事でした。

私は仕事柄、全国各地の市や町は勿論、田舎の山村・漁村まで出掛ける事が多く、
それも秋口から春先までの半年の間に集中していて、
日帰りの時も有れば、一、ニ泊する事もありました。
其の中でも良く出掛ける或る郡部の漁村での泊まりの折は、
「海晴荘」(仮名)というこぢんまりした民宿を常宿に決めていました。

何度か宿泊して、宿の女将の純子と、恥かし気も無く際どい冗談も言い合うような
間柄になったのでしたが、或る日のこと、夕食の膳を運んで来たのは、
何時もの女中さんではなく、女将の純子本人でした。

「おやおや、今日は女将さん自らのサービスですか、こら光栄ですなァ」
私がわざと驚いて見せると、純子は目許に人の良さそうな皺を寄せて、
「今日は郡内に小学校の校長さんの集まりがあって、うちも急に何人かお
 泊りを引き受けたもんやさかいに、女中さんが皆てんてこ舞しとるもんやでなァ。
 その上、うちの人も組合の会合で北陸の方へ出掛けて留守ですんやワ」

そう言いながら何時も指定してある銘柄のビールの栓を抜き始めました。
「ああ、道理で旅館の中がザワザワしてるんですな」
「そうですねん。内緒の話やけど、お客さんの中でも、
学校の先生が一番スケベでなア、
 ウチなんか、よくお尻をさわられたりしますんや」

純子は何時ものように、
問わず語りにそんな話を付け加えて可笑しそうにクスクスと笑います。

「学校の先生じゃなくても、女将さんのお尻なら誰でも触りとうなりますよ」
「まあ、嫌やわァ、お客さんまでそんな事言わはって」
「それはそうとして、女将さん、ここらで息抜きに一杯どうですか?」
「そうですなア、それじゃア遠慮なく」

純子は忙しいと言う割りには腰を落ち着けてしまって、別に遠慮する様子もなく、
私が勧めたビールを美味しそうに、半分ほど空けて、
「あア、お腹に滲みわたるウ」
と、いかにも土地者らしい素朴な表情に成りました。

私はそれまで彼女の年齢の事など気に留めても居なかったのですが、
改めてよく観察して見ると、頬や首筋はまだ三十代前半と思える肌の張りです。
民宿が暇な時には百姓や海女の真似事もすると言う土地柄のせいか、
顔は多少陽に焼けていますが、目鼻立ちのくっきりした十人並み以上の
美人系の顔立ちをしていました。

元々アルコールを嗜まない私は、コップに一杯もあれば十分で、
後のビールは残らず純子が平らげてしまいました。

「なあ、おかみさん。オレ、夜になると、一人寝が寂しうなって・・・
 何時も思うんだけど、この辺は相手してくれる女はおらんのかなア」
「男はんのおるところにオナゴは付きもんやで、おらんことはないけど、
 急に言われても無理やわア。何や、あんた、そんなにオナゴが欲しいんかいナ」
と、ビールが入ったせいか、潤んだような瞳でジッと私の顔を見詰め、
口許にスケベそうな笑みを浮かべました。

「オレだって男やからなあ、女房以外のオメコがしたい事だってあるわサ」
「まあ、オメコがしたいやて。
 そんなにしたいんなら、私ので良かったら使うて貰ってもええよ」
「えっ、ほんまかいな」
「嘘は言いまへん、ウチなア、前々からアンタのこと気になってましたんやもん」
思い掛けない純子の言葉に私は喉から手の出るような思いでした。

「美人の女将さんが相手になってくれるなんて、
 そんな勿体ない話を、誰が断りますかいな」
と、降って沸いたようなその話に、私は思わず膝を乗り出しました。

「だけど、あの人の良さそうな旦那に申し訳ないなァ」
「そんな事、ウチが口をつむっていたら分からしません」

純子は事も無げにそう言って、テーブルの上の食器類を片付け始めました。
食事の終わったテーブルの上の物を片付け終えると、
間を置かずに隣の部屋へ蒲団を延べ、
「そんなら、仲居が帰ったら、戸締りしてから忍んでくるよってに、先に床へ入ってておくれ」

純子はまるで世間話の続きでもするようにそう言って、そそくさと食膳を下げて行きました。

独りで部屋に残った私は、冷静になって彼女の言葉を考えて見ると、
如何にも旨い話で、ひょつとしたらからかわれているのかも知れないと言う思いもあり、
半信半疑の気持でした。
約束どおり純子が忍んできたのでした。
それでも十時頃迄はテレビを見ながら起きていましたが、
心待ちにしている純子はやって来ず、私は諦め切れない気持を抱いて、
寝床に就いたのですが、気が立って容易に寝付かれません。

それにも増して困ったのは、親の心子知らずと言うのか、股間の息子が大張り切りで、
痛いほど勃起したまま、容易に納まってくれないのでした。

時計の針が十一時半を回って、殆ど諦め掛けた時、外の廊下で軽い足音がして、
耳を澄ましていると、静かに部屋の表戸が開く音が聞こえました。
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