行商先で出会った女。其の三
(3)

夜明け方、目覚めた私は、傍らに満ち足りた様な顔付きで、スヤスヤと添い寝している
定子を見ると、ムラムラと怒りがこみ上げて来て、横っ腹を嫌と言うほど蹴り起しました。
それから定子を問い詰めると、昨晩の男は定子の遠縁に当たり、
子供の頃から定子の家へはずっと出入りしていたそうです。

定子が女学校へ入った年の夏、当時二十六歳であった男に処女を奪われ、
以来十八年間に亘って、途切れながらもその関係は続いていたそうです。
私との結婚後も、帰省の度に執拗な男の要求で、やむなく続けて来た事、
今度も疎開後十日も経たない頃から毎夜の様に忍んで来る様になった由でした。

泣き詫びる定子に返事も与えず、翌朝不審がる義父母にお座なりな口実を設けて
帰浜したまま、音信を絶って今日に至った次第なのです。二人の子供の養育費は
苦しいながらも毎月為替で送り続けて居りましたが。

先程も申し上げた通り、私はその時まで本当に生れてから女と言う者は定子一人しか
知らなかったのでした。性愛技巧と云う様なものについては、全く無知と云ってよく、
そこに完熟期の定子として充たされない思いもあったことでしょうし、
余りにも無関心であり過ぎた私の態度も、今にして初めて首肯出来る訳なんですが。

兎に角、世にも惨めな、ムシャクシャした気持で帰った私は、仕事もそこそこに、
行きつけの料亭でペロペロに酔っ払って帰宅するとどうにも遣る瀬無い気持の儘に、
長年妹の様に育てて来た女を、無理矢理に犯してしまったのでした。

その女は矢野富子と云いましたが、当時二十一歳でした。親兄弟も無く、文字通り
天涯孤独の薄幸な女で、得意先で幼児から拾い育てられていたのを、同じ様に
肉親の縁故に恵まれない私が引き取り云わば親代わり兄代わりと云った形で育て、
やがて適当な良縁でもと考えていたんです。身体は、血色もよくチョツト小太りな
体型でしたが、その雰囲気には何処と無く一抹の淋しさを感じさせるものがあり、
性格も多少陰鬱な方でした。

えぇ?定子が富子の事を嫉妬していたってですか?
いいえそんな事は絶対にありません。無論私も夢にもそんな事を考えた事も
有りませんし定子も富子を実の妹の様に可愛がっていました。

所謂魔が差したとでも言いましょうか、泥酔した私を、肩に担ぐ様にして
私の寝室へ連れて行き、寝間着に着替えさせた富子が、立ち止った時、
寝間着の裾から白い股がチラッと覗けたのです。

ハッと思った時、もう私は富子を押倒して乗り掛かっていました。
それでも私を信じ切っていた富子は、未だ冗談だと思っていた様子でしたが、
私が裾を捲くってズロースを引き下げると、慌てて膝を固く合わせ、
無言の侭可なり激しく拒みました。

私も、思いがけない自分の挙動に、瞬間戸惑っていたのですが、
泥酔で混濁した頭に、前夜の定子の姿と富子の映像とが交錯して、
夢と現の区別がつかなくなって仕舞ったのでした。

私が無理矢理ズロースの紐を引き千切って、こんもり盛り上がったオマンコへ
指先を押し込むと、大粒の涙をポロポロ流しながら拒み続けていた富子の顔に、
寂しい諦めが浮かんで、クックッと嗚咽しながら、もう抵抗を止めてしまったのでした。

明るい電灯の下で、嫌がる富子の肌着まで剥ぎ取り、私も丸裸になった時、
初めて意識がはっきりしたのですが、もうその時は気持の昂まりが、
如何にも成らない処まで来てしまったのです。
それからの私は富子の眼に淫鬼とも野獣とも映った事でしょう。

豊かな処女の肉体を舐め回す様に、隅から隅までギラつく眼で眺め、
深酒でチンポが勃え切らないままに、指先で膣口をぐっと左右に押し開けて、
破瓜の出血が、滲んだ陰門から、覗けて見えるバラ色の秘肉を、舌で舐め擦り、
指を押し込んで、くじり廻すかと思えば、腋から腹へかけての性感帯を弄り、
乳房を大きく揉み立てたり、グミの様な乳首を吸ったり舐めたり、
情感に任せて弄ぶうち、流石全く未経験の富子も、頬を上気させ、
快げに小鼻を膨らませるのでした。やがて、激しい昂奮でチンポも直立して来たので、
股間へ割り込むと、黒々とした毛を掻き分け、亀頭をオマンコに宛がって、
にじらせてみたのです。肉付きも豊かに、充分成熟してきた富子のオマンコは、
既に湿りを帯びてヌメっていました。

ぐいぐいと押してみたが、凹むばかりで容易に這入りそうににもないので、
亀頭を押し付けたまま両手の親指で、陰門をぐっと広げるとズルリと亀頭が嵌り込み、
富子が上体を反らせて、あっと口の中で小さく叫んだ時は、
もう半分以上も這入り込んでいたのでした。

定子との初夜の記憶なんぞ、もう随分古い事でもあり、何しろ初めて女体を抱いた私には、
ゆっくり観察するほど心のユトリも無かったので、只幾日か経ってからの感覚、大柄な定子の
身体相応に、大きく弛んだ、殆ど緊迫感と言うものを伴わないオマンコしか知らない
私にとって、チンポに隙間もなく秘肉がからみつき、ギュウギュウ締め付け、
咥え込む様な富子の膣の心地良さは、私を痺れる様な陶酔に引きずり込みました。

夢中で四、五遍も抜き差しすると、スッポリ付け根迄嵌り込みました。
ヌルヌル湧き出る吐液、纏いつく熱い柔肉の触感、もう耐え切れなくなった私は、
上体をガバと伏せ、乳首に吸いついて一段と激しく突き立てると、
高く呻いてドックドックと射精したのでした。

眼を瞑り、左手で富子の腰から股への、むっちりした肉付きを撫で擦りつつ、
余情を味わった私が眼を開けた時、もう富子の顔には涙の痕もなく、
色っぽく膨れた瞼の下から生々とした瞳がじっと私を見詰めていたのでした。
富子の素晴らしい肉体と、汲めども尽きない情感豊かなオマンコの味は
私の魂を天外に飛ばせてしまいました。

定子の不愉快な記憶も淡雪の様に消え失せ、いや、むしろあの事のお陰で、
自責を感じる事無くこの悦びに浸れるのをよろこんだ位で、その夜が白々と明け初める迄、
燃えたぎる情欲の侭に、富子の肉体に挑み続けたのでした。
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