幻想夫婦交歓記。其の二
◇ああっ、そこがいいの

「ご主人に構って貰えないのに、全然平気・・・なァんて言わせないわよ」
ふいに美紗子さんが私の隣りに座ったので、私はドキリとしました。
いくら同姓とはいえ、彼女は魅力的な女性です。
美紗子さんの手が、私の太股の上に置かれました。

「い、いやだわ、美紗子さんたら・・・」
「スベスベしているのねぇ、あなたの肌って、餅肌っていうのね、こういうの」
スカートを捲り上げて、美紗子さんの手が直に肌に触れました。
けれども茶目っ気たっぷりの彼女の目には、まるで悪びれた様子はありませんでした。

「ねぇ、どうなのよ。たまらなく欲しくなるときがあるでしょう?」
「私は・・・そんな・・・」
「嘘ばっかり!私たちはネ、第三期成熟期に入ってるのよ。ないはずないわ」
「何なの?第三期成熟期って?」
またしても、耳慣れない言葉です。けれど、それよりも美紗子さんの手の動きが
気になって仕方ありませんでした。

「第三期成熟期っていうのはね、私の造語なのよ。
第一期は二十代、つまりセックスを覚えたての頃、この頃ってセックスが目新しくて、
メチャクチャやってしまうでしょ。第二期は三十代。少し落ち着いてくるけど、肉体は
より深い歓びを求めるのよね。わりと穏やかな、円熟したセックスを楽しめる時代よ。
ところが、四十代の第三期となると少しばかり訳が違ってくるの」

美紗子さんの指がパンティの中に潜り込もうとするのに、
私はなす術もなく身を委ねていました。
不思議な事に、不快感や抵抗する気持ちは起こりませんでした。
美紗子さんは、私に悪戯しながら自分の説を話し続けていました。

「四十代って、女にとっては微妙な年代よね。色々な事で、肉体は疲れている。
夫婦の性生活にも飽きが来ている。でも、肉体の欲求は強まっているのよ。
無意識の内にね。そこで、ギャップが生まれてくるのよ、男も女も。
だから、どうしても目先の変わった刺激が必要になるの」

美紗子さんの指が、とうとうパンティの中で蠢き始めました。さすがに理性では
躊躇せずにいられませんでしたが、肉体の方は金縛りに遭った様な状態でした。
私は、美紗子さんの手から逃れる事が出来なかったのです。

「それが浮気だったり、こうした女同士のことだったり・・・。
 まぁ、他にも色々方法はあるけどね」
「ああ・・・や、やめて、美紗子さん・・・」
「本当に止めて欲しいの?いくら口では強がっていても、ココが濡れてるわよ、瑛子さん」
正直言って私は快感に溺れ様としていました。美紗子さんは驚くほど上手で、
私の理性を柔らかく揉み解しかけていたのです。

「あっあっ・・・だって、だって、こんな・・・」
「いいじゃないの。ちょつとしたお遊びよ。
 私たちは女同士、妊娠の心配もないし・・・どうってことないわ」
ふと、私は自分の中の欲望をはっきりと感じました。
確かに、今まで女としての欲望を忘れていました。
しかし、こうして美紗子さんの指で愛撫されて、
私は恥ずかしいほど発情しているのです。

私の中に欲望が存在するばかりか、それを発散させてくれるのは、
別に夫でなくても良いのだと言う事に気付きました。キッカケさえ掴んでしまえば、
相手が夫でも美紗子さんでも、いえ、見知らぬ誰かでも良いのかも知れません。

私はそんな動物的なまでの欲望を感じ、驚愕と歪んだ歓びを禁じ得ませんでした。
そう、私は女だったのです。妻であり母であるまえに、一人の女、
一匹の牝だったのです。私は大切な何かを見落としていたような気がしていました。

「ああっ、み、美紗子、もっと・・・もっと・・・」
女としての自分を再発見すると、私は俄然積極的になっていました。
美紗子さんの指をより深く感じるために、自ら腰を浮かしたり振り始めたのです。

「可愛いわ!素直な瑛子さんって、とっても可愛い!」
四十二にもなって可愛いなどと言われて、こそばゆい気持ちでした。
私の方も、美紗子さんが愛おしくてたまりませんでした。

「ねぇ、何だか熱いわ。裸になってしまわない?」
ごく自然に、私たちは裸に成りました。服の上からも判る様に、
美紗子さんの裸身は息を呑むほど端整でした。
「素晴らしいわ、綺麗よ、美紗子さん!」
「あなたこそポッチャリして、とても女らしいわ。グラマーなのね」

私たちは抱き合い、互いの肌を擦り合わせました。その滑らかな感触と言ったら、
まるで卸したての絹のようでした。

私は蕩然としまった。同姓の肌がこれほど快いものだなんて、
今まで知る由もありませんでした。
「大きなオッパイ!マシュマロのようね。食べちゃうわよ」
と、美紗子さんが私の乳首に吸い付きました。綿アメが肉体に纏わり付いた様な
心地になり、私はしばらく茫然と快美の中に漂っていました。

美紗子さんの愛撫は、とても丁寧でした。
男性がする愛撫の様な野性味には欠けていましたが、
やはり女は女同士と言うところでしょうか、ちゃんと急所急所は抑えています。
デリケートな舌使いで粘っこく責められては、グウの音も出ませんでした。
「いいわァ、とっても素敵!」「ねぇ、瑛子さん、私のも触ってよ」

私は思い切って美紗子さんの柔らかな割れ目に指を沈ませてみました。
そこは、弾力のあるヨーグルトのような感触でした。
「ああン!弄って。もっと掻き回してみて!」
美紗子さんは直ぐに腰をグラインドさせはじめました。
私はテクニックに自信などありませんでしたが、それでも一所懸命でした。
美紗子さんに、精一杯お返しがしたかったのです。

「ああーっ、そ、そこがいい、!もつと擦ってェ!」
私はしゃにむに肉の突起を擦りたてました。一方美紗子さんも休んではいません。
私たちは、共にお互いの割れ目を擦り続けていたのです。

「あうーっ、美紗子さん、すごいーっ・・・」
「私もよ!こんどは、指を挿入てみてっ」
私は指を二本束にして、美紗子さんのワギナに突き入れました。
この頃になるとコッが判り、遠慮なく彼女を責める事が出来たのです。
「あひーっ、え、瑛子さん、きくーっ・・・」

美紗子さんも、私に同じ事をしました。グサリと指を突っ込まれ、
Gスポットを探り当てられ、私は身も世もない声を放っていたのです。
久しぶりの快美感でした。

私の肉体は枯れていると思い込んで居たのが嘘のようです。
それどころか、私は貪婪でさえありました。
私の欲望は、汲んでも尽きない泉のようでした。
あとからあてから、愛液が流れ続けてくるのです。

どんなに擦ってもらっても、どんなに貫いてもらっても、
この泉は決して涸れることのないような気がしました。
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