借りた人妻奈津子。其の一
◇◇

自分の妻のオメコを自慢する男は意外にも多いものです。
普通そんな話をするのは、バーなどで一緒に酒を飲んでいて、
次第にシモがかった話題に花が咲いている時が多いのですが、
そんな場所以外にでも、お互いが素面の時に聞いたことが二、三度有ります。

そんな男の中に私の取引先の宝石店の店主のKが居て、
取り引きの話が終わった後の雑談中に、私が彼の奥さんが評判の
美人だと言う噂を口にすると、
「顔もそうやけど、夜の具合がまたええんやわ。そら、ええオメコしとるぜ。
 あの締まり具合は何とも言えん塩梅やなあ。
 何なら、アンタに一晩貸して上げてもええよ」

最後には調子に乗ってそんな事までも言い出す始末でした。
あまり女を知らない連中の言葉と違って、相当遊んでいると言う評判の彼の言葉に、
私は非情に興味を持ちましたから、冗談交じりに、
「そんなにええオメコなら、盗んででも、是非お相手願いたいもんやなア」
と、彼の真意を探ったものでした。
「ああ、ええとも、アレもこの頃オレのチンポに飽きが来た言うとるところやで、
 そのうち機会を作るわ」

その口調には変に真面目な感じがあって、
私はまさかと思いながら、半分は期待する気持ちもありました。
Kとは長い付き合いですが、奥さんに会ったのは私がまだ若い頃の事で、
今は殆ど記憶にも残っておらず、果たしてお互いに気が合うかどうかという
懸念も有りましたが、私は是までの経験から、
大抵の女には好意を持たれる自信がありましたから、
「楽しみにしてまっせ」と、話を会わせておきました。

私は彼の言った事を勿論本気にしていた訳では有りませんでしたが、
それから一週間程して彼から電話があり、この前約束したこと
オーケーや、というのでした。
「イキなりという訳にもいかんから、スワッピングと言う事でどうや?」

私の妻は「二夫にまみえず」というような変に潔癖なところがあって、
そんな話に乗るような女ではなし、当時囲っていた愛人を、
他人に提供する気持ちは毛頭ありませんでしたから、
どう返事をしたものか送話器を前にして黙っていると、
「オマエさんの相手のことなら心配いらんよ。
 俺がなんとかするから、身体一つで来てくれればそれでええ」
彼は私の心の中を読んだようにそう言い、
待ち合わせの場所と時間を告げて電話は切れました。

さて、約束の日が来て、時間に遅れない様に待ち合わせ場所に指定された
ホテルへ出かけて行くと、Kは既にロビーで待っていました。

彼の隣りに連れらしい魅力ある熟女がいましたから、てっきり奥さんかと思っていると、
そうではなく、彼はその婦人を私に紹介し、私は自分の名を名乗った後で、
どちらにともなく「よろしく頼みます」と頭をさげました。

その婦人はどこか品のある顔立ちで、目元が私の好みのタイプでしたから、
第一印象ではKの奥さんよりこの女の方が良さそうな感じだと思っていました。
間もなくKは奥さんを迎えに出かけて行き、その婦人と二人きりに成ったので、
「Kとはどういうお知り合いで?」
と訊ねてみました。

「若い頃、近所に住んでいて、それからの知り合いですの」と彼女は答えて、
柔かく微笑んでいるだけなので、私は取り付くひまが無いといった気分で、
二人の関係をあれこれと想像し始めました。

短い沈黙の後で、彼女は黙っているのも余り愛想がないとでも思ったのか、
「あなたと夫婦らしくしていればいいと、言うものだから」と付け加えました。
丁度その時、「やあ、お待たせ」そう言って、奥さんを後ろに従えたKが現れ、
二人の会話もそれ切りになってしまいました。

何十年振りかで出会った奥さんは痩せ型で、四十二歳と言うことでしたが、
実際の年齢よりはかなり若く見えました。

噂の通りかなりの美人でしたが、どこか精力の強そうなところがあり、
これならKもさぞかし大変だろうと思われる感じの熟女でした。

「奈津子です、よろしうに」
と、Kの奥さんは土地の言葉で挨拶をされました。
彼女とは若い頃に二、三度会った事があった筈ですが、どんな顔立ちであったのか、
私の記憶には残っておらず、彼女の方もそのことには触れません。

Kの連れてきた女も、如何にも其れらしい素振りで私に連れ添っていましたが、
女同士はお互いに話し合う様子もありませんでした。
型通りの挨拶の後、それぞれ相手を取り替えて、予約してある部屋へ入りました。

「綺麗な奥さんだわ」部屋へ入ると、奈津子は独り言のようにそう言いながら、
背後へ回って上着を脱ぐのを手伝ってくれました。

「ねぇ、あんな優しそうな奥さんでも、セックスだけは別なのかしらね」
「そらそうですよ、長年夫婦をやっていれば、
 たまには別のご馳走を食べてみたいじゃないですか」
「それもそうですわね。ところで、こちらへは何時からお住いですの?」
「もう七、八年になるかなあ。これまでの仕事とは別に、
 こちらで新しい仕事を始めたものだから」
「まあ、それは益々お盛んな事で結構ですわ。
それはそうと、先にお風呂へ入るでしょう?」
「そうやなァ、奥さんと一緒に入りたいけど、ここの風呂はせまいだろうしね?」
「まア、あなた、奥さんやなんて、水臭いわァ、奈津子と呼んで頂戴ナ」

奈津子は急に砕けた口調になって、身体を寄せ掛けてきました。
彼女は普段から余り化粧をしない方と見えて、殆ど白粉気がなく、
その分、肌が生き生きとして綺麗で、如何にも健康そうに見えました。

私が先に入浴を済ませて出てくると、奈津子はすでに裸になって、
バスかタオルで胸から下を覆って入口で待っていました。
「今入ろうと思ってたところなんやワ」
そう言って見上げる奈津子の姿に、私はゾクゾクとするような色気を覚えて、
「折角だから、ここで一寸裸を見せてよ」

と、自分でも予期していなかった事を口にだして、タオルの上から、
胸の膨らみへ触ろうとすると、奈津子は一瞬早く、サッとバスタオルを胸から落として、
私の前へ全裸の姿を曝け出して来ました。
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