セックスレス夫婦の今と昔。其のニ
〜元の恋人の名前!〜

「ねぇ、敏明さん、今夜も疲れてるの?」
その夜も、夫は遅く帰るなり黙りこくったまま、蒲団に入ってしまいました。結婚すれば
夫婦の情も自然と湧いてくる・・・姑の言葉を裏切るような結婚生活の始まりでした。

私達の新婚生活は、世間一般で考えているような甘いものでは有りませんでした。
「ああ、そうさ。仕事が忙しくてね、もうクタクタなんだよ」
新婚の夫は何時も私に背を向けていて、それに不愉快そうでした。

取り付く島の無い夫の態度に、私は我慢が出来ませんでした。
私達にはセックスどころかろくな会話も無かったのです。
はしたないとは思いつつも、私は夫にのしかかっていきました。

「何よ!私だって朝から晩まで働きづめなのよ。毎日毎日番台に座って、
 従業員の世話をして、帳簿をつけて、一日中紅葉湯の仕事をしているんだからっ」
「いいじゃないか、君は紅葉湯と結婚したんだ。最初からそう言っておいただろう?」

私はカッと来ました。夫に愛が無いのは初めから判っていた事ではありました。
けれど、そう面と向かって言われると、私のプライドが許しませんでした。
「ひどいわ、そんな・・・あなたが紅葉湯を継がないから、
 私が代わりに頑張っているんじゃないのっ。それに、仮にも私はあなたの妻なのよ!」
「ああ判った。判ったよ!抱いて欲しいんだろう?抱いてやればいいんだなっ」

ヤケクソの様に吐き捨てると夫は私を蒲団にねじ伏せてきました。
優しい言葉も、情熱的な愛撫もありませんでした。
それどころか、彼は行為に憎悪さえ漂わせていたのです。

この人は私を愛して居るどころか、憎しみすら覚えているかもしれない。
私は痛烈な悲しみに突き上げられていました。もうプライドはズタズタでした。
「ああっ、いゃ、いやょ、いやょ、こんなのっ、やめて、敏明さん!」

悲しきは女の性でした。一応抗いのポーズは取ったものの、
私は夫を拒み切れませんでした。たんに獣欲だけで抱かれるにせよ、
夫と肌を合わせることを私は心と肉体で望んでいたのです。
悔しいけれど、私の方は夫を愛してやまなかったのですから。

「悪かったよ、おまえも生身の女だもんな。さぞかし、淋しかったことだろうよ」
普段は理知的な夫の目が、ランランと野生動物のように輝いていました。
其の目には、愛情などカケラも感じられませんでした。
わたしの浴衣を剥ぎ取ると、いきなり乳房を鷲掴みにしてきました。

「ううっ、はあーっ、痛い・・・」
乱暴に扱われてもプライドを傷つけられても、感じてしまう女の身が惨めでした。
愛が無いとはいえ、新婚当初の夫はイヤイヤながらも、たまにはこうして私を抱いて
呉れることもあったのです。

「ほおお、よほど飢えていたと見えるな。乳首がピンピンに勃っているぜ」
夫は知らない女を犯すように私を攻撃してきました。
その遣り方は、まったく情の様なものはかんじられませんでした。
結婚してから、ただの一度もキスさえしてくれたことがありませんでした。
新妻への口付けを拒む夫がどこの世界にいるでしょうか。

夫の頑なな態度は、まるで娼婦に対するそれのようでした。
娼婦は客に、決して唇を許さないといいます。夫は愛情の象徴であるキスを
絶対私にしようとはしませんでした。

私はそんな夫のささくれだった態度にも、辛抱するしかありませんでした。悔しいけれど、
悲しいけれど、私はキス一つして呉れない夫に骨の髄まで惚れていたのです。

「ほら、股をおっぴろげろよ。やってほしいんだろう?チンポ突っ込んで欲しいんだろうがっ」
屈辱的な言葉に耐えながら、私は大きく太腿を広げました。
と、夫が左手の指を割れ目に差し入れてきたのです。夫は生活に必要な事は全て左手で
行いました。姑が言うには、どんなに努力しても、夫の左利きは直らなかったという事です。

「はあーっ、いいわ、いいわッ、ソコ、ソコ、ソコが気持ちいいっ・・・」
左手の指で割れ目を掻き回され、私はいつしか快感のるつぼへと嵌って行きました。
そんな私を見る夫の目は、相変わらず猛々しく、そして冷ややかでした。

「下品な女だ。気立てが良くって愛嬌があるとおまえを褒め讃えているお袋が、
 こんなおまえを見たら何て言うかな、なあ、紅葉湯の若女将よ」
皮肉を言いながらも、夫は確実に私の性感を勃かぶらせていきました。
快感と悲しみがないまぜになった複雑な感情が嵐となって、
私の性感を揺さぶっているのです。

「あうっ、あわわわわーっ」
夫が直立したペニスを私に突き立ててきました。いきなり深々と猛り勃ったものを
押し込まれたショックに、私は白目を剥き、身体をエビ反らせていたのです。

「何とみっともない顔なんだ!その顔を鏡に映して見てみろよ」
夫は嫌味でも言うように私を嘲笑いながら、
加虐的なまでに割れ目を責め続けて来たのです。
それはまるで強姦同然の猥雑な抽送でした。

「ううっ、こいつめ!こいつめ、畜生、いい具合じゃないかっ」
やがて夫もそれなりに気分を出してきたようでした。私をギュッと抱き締め、目を瞑って、
ものすごい勢いで抜き差しを続けました。

夫のペニスは深々と子宮口まで刺し貫いてグサグサと肉襞を突きまくります。
嘘でも夫に抱かれ、発情する割れ目を責められれば、
いやが上にも性感が高まってきます。
「あうううーっ、か、感じるっ、いい気持ちだわ、
 あなた!これで二人はやっと一つになれたのね」 

拙い腰つきで私は快感と格闘していました。
腰を揺すれば揺するほどペニスが肉襞を突いてきて、快感はいや増してきます。
私は必死に成ってそんな快感を追い求めていたのです。

「ううっ、僕もいいよ、いいよっ」
夫が甘い声を洩らし、私をしばし幸福な気持ちにしてくれました。
「ああっ、まったくおまえのオマンコは最高だよ、マリ(真理)っ」
けれど、夫が他の女の名を呼んでいるのを聞くと、その幸福感は忽ち萎えてしまいました。
真理と言うのは、夫の元の恋人の名前でした。快楽が夫の頭の中を混乱させていた様です。 

女にとって、名前の呼び違いがどんなにショックなものか、
ここで改めて力説するまでもないでしょう。しかもセックスの真っ最中に・・・
夫にとってはこんな事も些細な事だったに違いありません。
私にショックを与えることなど、虫を殺す事にも等しかったのでしょう。
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